岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。10月は『ウニバーサル・スタジオ』、『進化の設計者』、『キルン・ピープル』、『SF奇書天外』などを収録。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。
 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

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 10月の記事と思っている間にもう11月ですね。というか、今回は10月ですね…。

 話題のETVスペシャル『21世紀を夢みた日々』が、10月22日に全国のNHK教育テレビ系で放映されました。写真は同番組からの引用です。

 内容的には、

 1)今や日本のオタク文化は世界を席巻している。
 2)その源流には日本のSF作家たちがいる(デイヴィッド・ブリンの証言)。


 3)凡そ50年前、SF作家たちは周囲の偏見に対抗するために日本SF作家クラブを立ち上げた。
 4)彼らの活動は活字だけではなく、ウルトラQ・ウルトラマンをはじめとする特撮物、鉄腕アトム・8マンをはじめとするアニメの脚本にも関わった。
 5)70年の万国博では各種企画に関係し、国際SFシンポジウムを開催、また小松左京が未来学を提唱、社会的・国際的貢献も果たした。
 6)ブームを生んだ宇宙戦艦ヤマトの脚本は豊田有恒、これは後の機動戦士ガンダム・エヴァンゲリオンらの作品の源流である。
 7)かくして、50年前に夢見た小集団の未来は大きく花開き、世界を照らすまでになったのである。

 といったものでした。まあ、ETV(教育TV)らしく、活字SFの源流からアニメまでをポジティブに結んだものです。これを見た多くの若い衆(?)も凡そこの趣旨で理解した(今のアニメのあるのも、先人たちの努力の賜物である)ようで、これはこれで結構なことかもしれません。

 しかし、これをETVではなく、NHKスペシャル風にまとめると(ほとんが悲観的なので、たぶんこんな風)、

 1)外人でごった返す今年の世界SF大会の様子。目立つ外人、少ない日本人。ナレーション、

 「今年の世界SF大会は、欧米以外では初めて横浜で開催されました。参加人数は3332名、しかしこの人数は旧海軍の戦艦大和が沖縄特攻するさいの乗員数と同じでした。偶然とはいえ、これは、日本SFのその後の数奇な運命を象徴する一致かもしれません」

 

 2)凡そ50年前、SF作家たちは周囲の偏見に対抗するために日本SF作家クラブを立ち上げた。
 3)しかし、彼らは活字で食うことができず、アニメや特撮脚本に手を染めざるを得なかった。
 4)やがて高度成長期に入り、万国博でも色物の企画に狩り出されるなど、もてはやされるようになる。
 5)その中で、SFの考え方は浅く広く流布される一方、コアが薄くなるという浸透と拡散が徐々に進み始める。

 6)90年代になると、出版不況、活字読者の減少等、かつてSF作家クラブを立ち上げた人々を過酷な運命が待ち受けていた。
 7)作家クラブのメンバーたちにもかつての結束はみられなくなっていた。

 8)日本SF作家クラブ40周年式典に集まる作家たちの若き日と、現在の映像の対比を強調した映像。


 9)秋葉原の映像と閉店する地方書店のオーバーラップ、ナレーション、

「50年前彼らが目指した21世紀と、今現在に実現したものとは果たして同じだったのでしょうか」

 10)小松左京の独白「SFは希望だった」

注:大和の乗組員とSF大会の参加者数の一致は、大和ミュージアム津田氏の指摘による。

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