二重時間者

四郷威智



1900年1月

マンシー・マガジン
22(4)
「ヴァンダービルツとヴァンダービルツの富」「鉄路と雪の闘い」「模範病院」、The Isle of Unrest by Henry Seton Merriman、今月のパブリック・アイのセクションではではバーデン・パウエルとウィンストン・チャーチルがいますな。「大店舗の裏側」「市場の拡大」The Treasure Cask of Solymon the Magnificent by samuel Freedman、掌編小説コーナー、「企業合同にまつわる疑問」、ソフィアの続き、演劇セクション、The General by Anna Leach、「ウィリアム・トムソン神話」「イプセンのパフォーマンス」

ストランド・マガジン
19(1)
アンスティーのThe Brass Bottleではじまる。その後は、「英国水兵の射撃訓練場」って記事があって、F.M.ホワイトのThe Fire Bugs。続いて「砕氷船で極へ」っー記事、更にドイルのジェラール物、「大佐の罪」って訳題は古すぎか。創元文庫だと「准将が狐を殺した顛末」ですな。「動物の行動」「音楽の散文」日常会話やら、動物の鳴き声を楽譜におこしております。ジェイコブス続いてます。「「パンチ」のテーブルでのデュ・モーリア」The Royal Reliquorium by Herbert Compton。「奇妙な電飾」ってのは、たんに光源を振り回して、中空に円を描く写真を撮って見せただけみたいだけど、なかなか面白げには見える。アレン続いています。「大陸軍の崖での騎乗」、The Unwritten Play of Silas Liversedge by J. Harwood Panting。「熊の学校」ということで曲芸を習う熊の記事がでておる。

いや1900年問題はなかった見たいですな。誰も何も騒いでいる様子はないね。



20|00 | 19

2000年1月

文芸春秋1ダニエル・キイスもうひとりの私[宇多田ヒカルとの対談]
日本古書通信1横田順彌西暦二千百年、本の行く末SF小説
本の雑誌1紀田順一郎1999年度私のベスト3 
本の雑誌1鏡明連続的SF話186百年の成果
本の雑誌1鏡明90年代最後はG・イーガンがトップだ!1999年度SFベスト10
本の雑誌2鏡明連続的SF話187マルチ・メディアのヒーロー
太陽1荒俣宏ザラ紙の楽園アメリカ大衆マガジン再発見12女性もまたセクシー雑誌に魅かれた
本の雑誌1高橋良平日本SF戦後出版史室町書房「世界空想科学小説全集」の巻その1
ダ・ヴィンチ1佐藤亜紀99年の文壇を切る[福田和也との対談]
オール読物1佐藤亜紀偏愛読書館実録の想像を絶する可笑しみ−『モンタイユー』
本の雑誌1山岸真SF新世紀養毛剤からはじまるとんでもない物語『BH85』がお薦め
本の雑誌2山岸真SF新世紀創刊四十周年!「SFマガジン」の超特大号を紹介
文芸春秋1山田風太郎江戸川乱歩私たちが出会った20世紀の巨人
現代2小田嶋隆暗黒の21世紀をバラ色に変える法土屋賢二・町山広美との鼎談
文芸春秋2瀬名秀明鉄腕アトムをつくれ! 
現代2清水義範「小学校選択制」でほんとうにいいのか「遠く学校から離れて」26
オール読物1清水義範新しい地平 
太陽1川上弘美キノコ狩センセイの鞄7
本の雑誌1大森望新刊めったくたガイド奇想天外なロジックでぶっちぎるイーガン『順列都市』にまいった!
本の雑誌2大森望新刊めったくたガイド九○年代SFの最高峰ハイペリオン四部作が完結だあっ!
翻訳の世界1巽孝之アメリカ文学の思想16コスモポリタニズム(1)
オール読物1筒井康隆はじめての翻訳おしまいのページで
本の雑誌2日下三蔵『のろわれた宇宙船』ふたたびもう一度、あの本を
本の雑誌1白石朗1999年度私のベスト3 
本の雑誌1風間賢二1999年度私のベスト3 
本の雑誌1北原尚彦神田番外地今なお人気衰えず金子国義装画の富士見ロマン文庫
本の雑誌2北原尚彦神田番外地やっぱり場所塞ぎ!?天と地ほど値段が違う奇妙な存在
中央公論1夢枕獏シナン7 
中央公論2夢枕獏シナン8 
オール読物1夢枕獏髑髏譚陰陽師
 「現代」でバラ色の未来うんぬんの鼎談をやっとりますな。ううむ、昔はこーゆーのにはSF作家が出てきたものであるがのお。いや来年の総合誌の一月号ではぜひ、漫画カルテット「21世紀を語る」という対談を読みたいものである。


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0011

 いや先日はデパートの古書展で『酔いどれ草の仲買人』が500円で売られているのに遭遇。「『酔いどれ草の仲買人』仲買人」の血がちょっと騒いだけれど、レジに並んだ人の列を見てゲンナリして、買って帰るのをあきらめたのであった。しかし、カゴにサンリオ文庫版バトルフィールド・アースをどっさり入れている人とかいたよ。ううむ、SFって売れとるがな。って、君、こんなとこでサンリオ文庫に金を注ぎ込んでいる場合ではないぞ、イーガンを買いたまへ。
 とか言いつつ、町を歩いていてペーパーバックの山を見かけてハーネスとかエリスンとか買っているようではねえ。しかも、薄いから、暮れと正月の間持ち歩いていたら読めるかもと、ジェイムズ・ブリッシュのThe Black Easterを読んでみることにするあたり、一番間違っているのは俺?いや、世紀末ものだからねえ、読むならやっぱり今でしょう。
 で、読み終えることが出来たので簡単に紹介。話はこうである。キリスト教系な白魔術者集団はオルタナティヴなテクノロジーとして魔術を認識していて(というか学者集団として描かれているのでそう見える)黒魔術の動向に注意している。で、なんか動きがあるぞ、ということで、その黒魔術師のとこへ手出しはしないんでオブザーバーを置かしてっ、と一人送り込む訳ですな。と、そこでは兵器業者のおっさんが、二人ばかり呪殺を依頼して、いやあ黒魔術ってほんまに使えるんや、ということで密かに暖めていた大層な計画を依頼するのであった。
 あまりに無茶なプロジェクトやから、約束上、邪魔はせーへんし、失敗した時の為に相談させてーな。と黒魔術のおっさんにことわって、白魔術な人達が集まって相談する場面がこの後、あるんですけど、集まって来た面々にバウチャー、ボンフィリオリ、ヴァンス、アンソン、アセリングとどっかで聞いたような人が混ざっているんで、このあたりで内輪ネタが炸裂しているものと思われます。
 で、計画は実行され、ミもフタもない結末が訪れるのであった。
 しかし、凄い結末ですな。キリスト教徒な皆様はあまりの恐ろしさに小便たれたんではないでしょうか。
 トランジスター・ラジオをもって閉じこもるあたりにも古さは出ているけど、悪魔との契約で夜明けまでとかいっているあたり、地球規模な話なので、その夜明けっていつのことなん?というか夜じゃない場所もあるけど。そのあたりがオチかなあとか思ったりしたぞ。いや、中世のヨーロッパ・ローカルなカルチャーを今にもってくるのはやはり力技ですな。本としてのヴォリュームが今一つで出しにくいかもしれないけれど、面白いんで、訳されてもええと思うけどなあ。
 念のためThe encyclopedia of science fictionのブリッシュの項をチェック。なぬ。続きがあるんかっ。アフター・サッチ・ナレッジ三部作とかゆーとるが一つ一つは独立してると聞いていたが、そうか三部の続編の四部があったか。やられたっ。
 ということで、いよいよ世紀末な、今年の暮れはThe day after judgementを読むしか。で、誰か本を貸してくれる人、募集中。というか、とっとと翻訳して出してくれる出版社があればええんやけどなあ。

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